チャップリンの独裁者 コメディに笑い、スピーチに泣く!勇気ある傑作!

映画感想
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どうも、けんせです。

今回は少し短めで行きたいと思います。丁度NHKのBSシネマで上映されていたこちらの作品についてお話していきます。それがこちら!

チャップリンの独裁者

‘‘喜劇王’’チャールズ・チャップリンの初完全トーキー映画にして大傑作の一本!また、チャップリンの作品の中で最も商業的に成功している作品です。チャップリンの作品を全部見ている訳ではない(お恥ずかしい…)のですが、これは確か小さい頃に見てた記憶があり、今回ガッツリ声を出しながら笑って見てました!この映画の感想と、この映画にまつわる話もしていこうと思います。どうか最後までお付き合いください!

あらすじ

18年の第一次大戦末期、トメニア(ドイツ)のユダヤ人一兵卒チャーリーは飛行機事故で記憶を失い入院する。それから数年後のトメニアは独裁者アデノイド・ヒンケルの天下で、ユダヤ人掃討の真っ最中。そんな時、退院したチャーリーは生まれ育ったユダヤ人街で元の床屋の職に戻る。親衛隊の傍若無人ぶり、特にそれが恋人ハンナに及ぶに至り、彼は勇猛果敢かつ抱腹絶倒のレジスタンスを開始。それがどういうわけかヒンケル総統の替え玉を演じさせられることになる。

(allcinemaより抜粋)

この映画、どうだった?

★★★★★★★★★

徹底的に独裁者をコケにするのは今見ても新鮮!笑いまくって最後に感動させられる珠玉の傑作!

やっぱ今見ても面白いなぁ…!チャップリンの映画は本当にいつ見ても色褪せませんね!この作品もやっぱりハチャメチャに面白かったです!

1940年にヒトラーを徹底的にバカにする!

この映画は1940年という、第二次世界大戦前に作られた映画です。後の歴史を知っている僕らは、ヒトラーがいかに邪悪であったかを知っていますが、この当時はアメリカは戦火の中になく平和を享受していて、ヒトラーはむしろ共産主義に対する防波堤のようにも受け止める声もあったそう。ヨーロッパでドイツが猛威を振るい、1939年に第二次世界大戦が勃発しても、まだまだ対岸の火だったのです。アメリカが本格的に戦争するのは1941年になってからです。

そんな中、ヒトラーの脅威を早くから危惧していたチャップリンは当時の反ファシズム映画とは一線を画す映画を作り上げました。ドイツとアメリカの微妙な関係の中、徹底的にヒトラーをコメディ化したんです。近年では、ナチスの残虐行為が明るみになったことで、都合のいい悪役逆にパロディにしてバカにする作品もいくつかありますね。例えば「イングロリアス・バスターズ」では蜂の巣状態にされたり、「ジョジョ・ラビット」では少年のイマジナリー・フレンドとして描かれいます。

しかし本作の公開時、ヒトラーはまだ生きています!しかも、チャップリンとヒトラーには不思議な共通点もあり、尚且つヒトラーはチャップリンの人気に目をつけていた話もあることから、もしかしたら本作を見ているかもしれません!そういう状況下でも、ヒトラーを徹底的に馬鹿にしナチスのユダヤ人に対する非人道的な行いをコメディにしています!あまりにもバカバカしいコメディの連続に笑いを堪えることは出来ません!

今尚、この手の問題をコメディにすることはタブー化されています。なのでこの映画は今でも色褪せない傑作になっているんです。

初の本格トーキー!喋るチャップリンも必見!

この映画は、チャップリン映画初の本格トーキー作品です。僕らがいつも思うチャップリンは、喋らないパントマイムの映像を思い浮かべる人が多くいると思われます。チャップリンの出演作は多くがサイレント映画です。これは、チャップリンが自身の放浪紳士のイメージを声で崩れることを恐れたため。実際チャップリンと並んで「三大喜劇王」と称されるバスター・キートンハロルド・ロイドは、トーキー映画に移行してからは徐々に人気に陰りが出ていました。

そんな中チャップリンは、監督・脚本・製作・主演をすべて自分で行う作曲も自らこなしますが、今作では作曲に十分な時間が取れなかったことで、メレディス・ウィルソンが作曲)完璧主義者で、音楽の重要性も理解していた映画監督でもあります。1931年街の灯」ではサイレント映画でありながら全編に音響効果を伴うサウンドを付け、1936年モダン・タイムス」ではストーリーに必要な部分にのみトーキーを付けています。そして本作で完全トーキーに踏み切ったんです。

本作では、チャップリンのパントマイムが存分に生かされているサイレント風のシーントーキーにより物語が進んでいくシーンとが交互になっています。ブラームスの「ハンガリー舞曲 第5番」に合わせて髭を剃ったり、冒頭の兵器や飛行機に悪戦苦闘するようなスラップスティック・コメディも存分にありつつ、ファシズムをバカにした描写あり、ユダヤ人の絶望を描いたりなど、チャップリンの監督としての手腕も存分に堪能できます。

そんな本作の最も素晴らしいのは、徹底的に馬鹿にした独裁者ヒンケルと、その代わりを演じることになった理髪師の演説のシーン一人二役で演じきってます!ここのヒンケルと理髪師が似ているのは単なる偶然であると冒頭で説明されるのもちょっと面白いですね。ヒンケルの果敢だが何言ってるか分からない演説のシーンは本当に面白い!そして、そんなシーンがいくつもあってからの、あの有名なラストシーン!ヒンケルと全く対照的なことを言ってるだけでなく、どんどんと熱がこもっていく様が逆にヒンケルっぽくなっていくという圧巻の演技!このスピーチの内容も素晴らしく、The Barber`s Speechと呼ばれています。一世一代の名スピーチです。あとでこのスピーチの全文を載せておきますね。

ここに注目してみて

ここからはこの映画にまつわる話や、チャップリンとヒトラーについてもお話します。

もしもあれを知っていたなら、この映画はなかった

先にも書いた通り、この映画は1940年に公開されています。この映画はナチス・ドイツをカリカチュアしたものですが、この時にはまだ明るみになっていなかった(というよりはこの後本格的に行われた)ものがあります。

それが、ホロコーストです。

ホロコーストは、ナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺アウシュビッツに代表される強制収容所(絶滅収容所)に収監されたユダヤ人580万人近くの方が犠牲になっています。

後にこのホロコーストの存在を知ったチャップリンは、もしも知っていたなら「独裁者」は作成できなかっただろうと語っています。1939年の撮影当時はまだ、ユダヤ人への迫害はゲットーと呼ばれるユダヤ人の強制居住区への強制送還がドイツ国内と占領地域で行われたのみで、まだ大量虐殺は行われていません。

ちなみに、このホロコーストというテーマにユーモアを入れるのは、1997年の「ライフ・イズ・ビューティフル」まで現れませんでした。

チャップリンとヒトラー

チャップリンヒトラーには不思議な共通点があります。チャップリンは1889年4月16日生まれで、ヒトラーは1889年4月20日生まれわずかに4日しか違いません。両人とも、口ひげがトレードマークです。また両人ともに、若い時に生活が苦しかったということもあります。

ヒトラーは政治キャリアの初期において、映画界におけるチャップリンの人気の高さに注目していたそう。チャップリンが映画内で演じるチャーリーと呼ばれるキャラクターとヒトラーにも類似する点が多くあることから、チャップリンをまねて同じ四角い口ひげを生やした説まであるそうです。

また本作に関してはヒトラーが鑑賞したという記録はないものの、2001年に制作されたドキュメンタリーでは、ヒトラーが実際にこの映画を観たというヒトラーの元秘書の証言が残っているそう。これを聞いたチャップリンは「何としても感想を聞きたい」と答えたとか(笑)

The Barber`s Speech

この映画の最後のスピーチは、映画の撮影中に起きたヨーロッパでの戦争を受けて作られたもの。この映画は、1939年9月に第二次世界大戦が勃発した二週間後に撮影が開始されています。

I’m sorry, but I don’t want to be an emperor. That’s not my business. I don’t want to rule or conquer anyone. I should like to help everyone, if possible, Jew, gentile, black man, white. We all want to help one another. Human beings are like that.

申し訳ないが、私は皇帝になんかなりたくありません。まっぴら御免です。私は他人を支配したり、征服したりしたくはありません。もしできるなら、私はすべての人々の助けになりたい。ユダヤ人も異教徒も黒人も白人も無関係にです。私たちはみんな、お互いに助け合いたいと思っているはずです。人間というのはそういうものです。

We want to live by each other’s happiness — not by each other’s misery. We don’t want to hate and despise one another.In this world there is room for everyone. And the good earth is rich and can provide for everyone. The way of life can be free and beautiful, but we have lost the way.

私たちはお互いの幸福によって生きていきたいと思っています。お互いの不幸によってではありません。私たちはお互いに憎しみ蔑み合いたくはないはずです。この世界には、すべての人々を受け入れる余地が残っており、この美しい地球は豊かで、すべての人々を養うことができます。人生は自由で美しいものにできるはずです。しかし私たちは進むべき方向を見失ってしまっています

Greed has poisoned men’s souls, has barricaded the world with hate, has goose-stepped us into misery and bloodshed. We have developed speed, but we have shut ourselves in.

貪欲さが人々の精神を蝕み、世界を憎しみよって分断させ、軍靴の歩みによって私たちを苦難と殺戮に追い込もうとしています。私たちは移動の速度を発達させつつ、逆に私たち自身をその中へ閉じ込められてしまっています。

Machinery that gives abundance has left us in want. Our knowledge has made us cynical. Our cleverness, hard and unkind. We think too much and feel too little.

機械化は私たちに豊かさをもたらしてくれた代わりに、私たちを欲望の中へ取り残してしまっています。人類の知識は私たちを利己的にし、その知恵は無情で不寛容なものへとなってきています。私たちは考えばかりを巡らし過ぎて、感じることを忘れています。

More than machinery we need humanity. More than cleverness we need kindness and gentleness. Without these qualities, life will be violent and all will be lost.The aeroplane and the radio have brought us closer together. The very nature of these inventions cries out for the goodness in men, cries out for universal brotherhood, for the unity of us all.

機械化よりも、まず人間性が必要なのです。賢さよりも、優しさと思い遣りが必要なのです。これらの本質がなければ、人生は暴力的なものになって、そしていずれはすべてが失われるでしょう。飛行機やラジオは私たちのお互いの距離を近づけてくれています。しかし、人間の良心や私たちの連帯を欠けば、これらの発明の本質は発揮されません。

Even now my voice is reaching millions throughout the world — millions of despairing men, women and little children — victims of a system that makes men torture and imprison innocent people. To those who can hear me, I say — do not despair.

今、この瞬間にも、私の声は全世界の数百万人の人々に届いています。何百万人という、絶望の中にいる男性たち、女性たち、そして幼い子供たち、この人々は人間を拷問にかけ無実の人々を投獄するシステムの被害者なのです。この声を聞いている人々へ、私は伝えたい。希望を失ってはならないと。

The misery that is now upon us is but the passing of greed — the bitterness of men who fear the way of human progress. The hate of men will pass, and dictators die, and the power they took from the people will return to the people and so long as men die, liberty will never perish.

今、私たちを覆っている苦難は、しかしながら人類の本当の発展を恐れる人々の貪欲さや敵意が生み出した一過性のものなのです。人間の憎しみはやがて去り、そして独裁者たちは死ぬでしょう。そしてやがて彼らが人民から奪い取った権力は再び人民の手に戻ることになるでしょう。そして人類が絶滅しない限り、自由が絶滅することは決してないでしょう。

Soldiers! Don’t give yourselves to brutes — men who despise you — enslave you — who regiment your lives — tell you what to do — what to think or what to feel! Who drill you, diet you, treat you like cattle, use you as cannon fodder.

兵士諸君よ!君たち自身を、残酷な輩に委ねるのはやめなさい。彼らは諸君を見下し、奴隷にし、生活を統制して、諸君らが何を行い、何を考え、何を感じるべきなのかいちいち口出しし、諸君らを調教して折檻を加え、家畜のように扱って兵器の部品として利用する輩なのです。

Don’t give yourselves to these unnatural men — machine men with machine minds and machine hearts!

君たち自身をあんな非人間的で、機械のような無血な心、無血な精神を持った異常な無血人間に委ねてはなりません!

You are not machines! You are not cattle! You are men!

君たちは機械ではない!家畜ではない!君たちは人間なのだ!

You have the love of humanity in your hearts. You don’t hate! Only the unloved hate — the unloved and the unnatural!

君たちの心の中には、人間性と愛情が備わっている。憎しみを抱いてはならない!愛がなければ憎しみだけが残り、そして愛がなければ不自然さだけが残ってしまうのだ。

Soldiers! Don’t fight for slavery! Fight for liberty!

兵士諸君、彼らの奴隷として戦うのをやめ、自由のために戦おうではないか!

In the 17th Chapter of St. Luke it is written: “the Kingdom of God is within man” — not one man nor a group of men, but in all men! In you!

17世紀に聖ルーカスは教会で「神の国は人々の中に存在する」と記している。一人の特定の人間ではなく、特定の集団に属する人々でもない!すべての人々、そして君自身の中に存在するのだ!

You, the people have the power — the power to create machines. The power to create happiness! You, the people, have the power to make this life free and beautiful, to make this life a wonderful adventure.

我ら人民は力を持っている。それは機械を創造し、幸せを作り出す力だ。我ら人民は力を持っている。その生活を豊かで美しいものにし、その人生を素晴らしい冒険にする力だ。

Then, in the name of democracy, let us use that power! Let us all unite! Let us fight for a new world, a decent world that will give men a chance to work, that will give youth the future and old age a security.

民主主義の名の下に、この力を行使しようではないか!みんなで団結し、新しい世界のために戦おうではないか。みんなで団結し、健全な世界を、人々に勤労の機会が与えられ、若者には将来の希望が、そして高齢者には社会保障が施される世界の創造のために戦っていくのだ。

By the promise of these things, brutes have risen to power, but they lie! They do not fulfill their promise; they never will. Dictators free themselves, but they enslave the people!

これらの政策の実施を公約することで、暴君たちはその権力を手に入れた。しかし彼らは嘘をついている。彼らが公約を実行することなどない。決してありえない!独裁者たちは自分たちだけが義務から免れ、人民を奴隷化するだけである。

Now, let us fight to fulfill that promise! Let us fight to free the world, to do away with national barriers, to do away with greed, with hate and intolerance. Let us fight for a world of reason, a world where science and progress will lead to all men’s happiness.

今こそ、これらの公約を実現するために、共に戦っていこう。世界から障壁をなくし、貪欲さをなくし、憎しみや不寛容を根絶するために、共に戦おうではないか。理性による世界、科学や発展が全ての人々を幸せに導く世界のために、共に戦うのだ。

Soldiers! In the name of democracy, let us all unite!

兵士諸君!民主主義の名の下に、団結せよ!

Charlies Chaplin-The Great Dictatorより

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は「チャップリンの独裁者」の感想でした。

最後のスピーチは、それまでの本編とは似つかない程に感動させられます。それまでサイレントだったチャップリンが、初めて語った想いでもありますね。

僕も今年中にはチャップリンのBlu-rayボックスを購入して全作見ようと思います!映画好きとは言ってますが、まだまだ見なければ!

それでは最後までご覧いただきありがとうございました!

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