ナショナル・シアター・ライブ2020 リーマン・トリロジー 驚異の3人芝居!絶品の舞台!

NTL
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どうも、けんせです。

今回は、このコロナの中、偶然こちらを見れる機会があったのでこちらの感想を書いていきます!

リーマン・トリロジー

 

こちらは、イギリスで上映された舞台を映画館で楽しめる「ナショナル・シアター・ライブ」の作品です!通称NTLですね(National Theatre Live)。NTLについては、以前に取り上げたものがありますのでこちらをご覧ください。

この舞台は、2008年のリーマンショックで有名なリーマン・ブラザーズのお話。世界的な投資家リーマン一族の栄光と衰退を3世代にわたって描いた大作です。

上演時間は途中休憩2回を挟んで、なんと210分!この間、出演者はなんと3人!こんな舞台、観たことない!とんでもないものです。この舞台の感想を、さっそくお話するとしましょう!

最後までお付き合いください!

作品のポイント

世界的な投資家リーマン一家が米国に移住した1844 年から2008年のリーマン・ショックが起こるまでの3世代にわたる栄光と衰退を描く舞台で、ナショナル・シアター上演時にはチケット完売を記録した注目作。主演の3人が約3時間にわたり、150 年以上にわたるリーマン家の歴史を演じ切る。2020年3月7日からはブロードウェイ公演も予定されている。主演は「チャーリーとチョコレート工場」のアダム・ゴドリー、「スターリンの葬送狂騒曲」のサイモン・ラッセル・ビール、TVドラマ「ザ・クラウン」のベン・マイルズ。上演舞台はロンドンのピカデリー劇場。演出は「007 スカイフォール」「007 スペクター」「1917 命をかけた伝令」の監督で知られ、2017年の舞台「フェリーマン」でローレンス・オリヴィエ賞とトニー賞をW受賞したサム・メンデス

この舞台、どうだった?

★★★★★★★★★

とんでもなく濃厚!3人の役者魂に脱帽!とてつもなく面白い!

この舞台、絶対観た方がいいです…!とんでもなく素晴らしかった!リーマン家の栄枯盛衰のお話も凄いんですが、その演出の素晴らしさ、役者陣のえげつなさ、すべてがとんでもない!

サム・メンデスの演出!

今回の舞台はサム・メンデスが演出をされています。

サム・メンデスと言えば、直近では大作「1917 命をかけた伝令」がありますね!

今でこそ映画監督として知られていますが、彼の出発点は演劇。1999年に「アメリカン・ビューティー」で映画監督デビューするまでは、演出家として数々の名作を連発し、1992年から2002年までロンドンの小劇場ドンマー・ウェアハウス芸術監督もされていました。ていうか、映画デビュー作でアカデミー賞獲るって、凄まじいですね…

そんな彼の演出は、その舞台のセットだけでもビンビンに感じることが出来ます。四角形の舞台で、そこに仕切られた透明なボードに、リーマン家の一族が次々と看板を書いていき、それがそのまま残ることで彼らの歴史の積み重ねを見せつけるんです。

さらに物語の中でユダヤ教の習慣がすごくポイントになっているんですが、その演出も、厳格な時にあえてリズミカルに刻み込んでいて、それが後の世代にはなくなっていってしまうという、とても分かりやすく、面白く切なく仕上げてます!音楽としてピアノの伴奏があるんですが、なんと生演奏!人物の心情を直接言葉だけでなく、ピアノの音色と共に生の感情が伝わってくるんです。さらに背景のビデオ映像の演出も素晴らしく、時代、場所、縦横自在に転換していく…こんなことが山のようにあるんです!

もう一つだけ特筆するとすると、上のポスターのシーン!あれは、リーマンが投資事業に傾倒していき成功し続けても、いつ転落するか分からない不安感と、当時ニューヨーク取引証券所の前で曲芸師パプリンスキが毎日行っていた「綱渡り」が重ねられているんです!これは、1920年頃のお話。そして綱から落ちたとき…歴史に名高い世界恐慌が起きてしまうんです。

中々書くだけでは伝わらないので(伝える努力をしろ)、是非とも舞台を観てください!

役者陣の役者魂!

この舞台は、先にも述べた通りリーマン家の一族の100年をも超える歴史を、たった3人で表現しきっているんです!それはリーマン家の当主はもちろんですが、その嫁、息子、その子供時代まで、ありとあらゆる役を瞬時に細やかに鮮やかに演じ分けられています!

例えばサイモン・ラッセル・ビールが演じたもので言うと、渡米してきた最初のリーマン、ヘンリー・リーマンは厳格なユダヤ教徒ですが、彼の甥っ子にあたるリーマン家の2代目フィリップ・リーマンではその厳格さが薄くなっていますし、さらに少年・青年・青年・晩年まですべて一人で演じきっていて、そのそれぞれの表現がとても素晴らしい!そのフィリップの葬式の際には、とうとうユダヤ教の教えはほとんどなくなっていて、それをもたらしたフィリップと厳格だったヘンリーは同じ役者であることから、どこか切なさすら出てくるんです。

他にも、ヘンリーの弟にあたり、初代のリーマン家では3男にあたるポテトことマイヤー・リーマンは、そもそもヘンリーが最初に店を構えたのはアラバマでそこからニューヨークに移るんですが、そのアラバマ時代では自らの言葉の力で家を支えていたんですが、ニューヨークに移り住み、取引証券所の飛び交う言葉を見て、言葉の力を信じられなくなり沈黙を重んじるようになるなど、その1人の人物の中での心情の変化を巧みに演じられています。

このように、素晴らしい演じ分けを見せていますが、子供や女性の役を演じる際は、やっぱり可笑しくて見てると笑っちゃいます!他にも、子供の声だけでなく、ラジオの音(?)とかも役者さんがやられていて、この思わず笑いを誘うコメディ部分をも、上手く演技されていて流石だなと思います。

演じた三人は全員そろってローレンス・オリヴィエ賞ノミネートされています。この素晴らしい演技を是非!

緻密にして壮大な脚本!

「リーマン・トリロジー」はイタリアの戯曲家ステファノ・マッシーニが作りました。この舞台では、それを「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」の脚本も手掛けたベン・パワーが翻案したものです。

この舞台は、リーマン一族というと、社会やビジネスのが大きな基軸になっています。

先にも書いた通り、渡米したてのリーマン一族はユダヤ教のしきたりを忠実に守っています。リーマン・ブラザーズいう社名の通り、一族経営をしています。ここに、ビジネスの広がりとして横が出現します。綿花を南北に繋ぐものだったのが、鉄道によって東西へ、言葉によって世界へ、金融によって果てはコンピュータへと広がっていきます。そして、社会という横も広がりを見せる中、習慣に疑問を持つ渡米二代目や、一族経営の弱点を指摘する渡米三代目という新たな縦が出てくるんです。

この縦と横の中を、リーマン一族は翻弄し続けるんです。広がる経済、日々進化し続ける産業の中、リーマンの会社を担う人間として、リーマンの名を持つ一族の人間として、どのようにしていけばいいのか。

その結果、リーマン一族の三世代それぞれが興味深い悪夢に苛まれます。皆それぞれが時代に追いつけなくなり、自分たちは没落するのではないかという悪夢。

僕たちは2008年のリーマン・ショックによって、リーマン・ブラザーズの名が消えてしまっているのを知っています。この前提知識があるからこそ、この悪夢のシーンは、演出も相まって非常に興味深いです。さらにその悪夢との向き合い方もそれぞれ違います。特に三世代目のボビーのシーンは終盤なだけに一際強烈です。

刻一刻と迫るカウントダウン。そんな中、生き残ろうともがきあがく、それぞれのリーマンのたち。舞台のボードに書かれている看板、これを消さないように、さらに大きくするために。結末を知っていて、その看板も消えてしまうことを僕たちは知ってるだけに、巨大な運命に翻弄されながらも抗う彼らの物語には、切なさと悲哀を感じます。

この壮大な物語の中に、様々な言葉、逸話、音楽が素晴らしく編み込まれています。この物語、是非とも味わっていただきたい!

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は、ナショナル・シアター・ライブ2020「リーマン・トリロジー」についてお話ししました。

この信じられないほどの大作、今現在の状況の中、観ることは中々できないのが残念です…このナショナル・シアター・ライブは、権利の関係で円盤化されることがほとんどなく、海外でもしかしたらされるかも…ぐらいです。

このコロナが収束した暁には、是非とも再上映を期待したい!この傑作舞台、機会があれば観ることを全力でおススメします!

夏や冬などで各地でアンコール上映が催されることもあるかと思いますので、是非ナショナル・シアター・ライブのホームページをご確認ください!僕も機会があればこのブログでお知らせします!

それでは最後までご覧いただきありがとうございました!

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