レ・ミゼラブル レミゼじゃないレミゼ、なんて言ってる場合じゃない!凄まじい映画!その魅力

勝手ながら映画解説
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どうも、けんせです。

またまた試写会に参加させていただきましたので、ご紹介させていただきます!

本日ご紹介するのは、2月28日(金)から公開のこちらの映画!

レ・ミゼラブル

こちらについてお話ししていきたいと思います!第72回カンヌ国際映画祭において、「パラサイト」と並んで注目を浴び、審査員賞を受賞した作品です!本年度アカデミー賞においても国際長編映画部門でフランス映画でノミネートをされています!

タイトルだけ見ると、あのミュージカル映画「レ・ミゼラブル」かと思ってしまいますね。この映画のキャンペーンでも、#レミゼじゃないレミゼ とありましたね。

しかし!この映画はそんな甘っちょろいものではありません!まさしくフランスの今の「哀れな人々」を描きあげた作品で、文句なしで面白く、とんでもない作品でした…!こちらの魅力が少しでも伝わるよう、紹介していきます!

注意です。こちら、感想も書いていますし、後半の展開についても後にがっつり触れますので、ご了承ください。あとでまた「観てない人はここまで!」的なもの書いときます。

それでは、いってらっしゃい!

あらすじ

パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。

(映画.comより抜粋)

この映画、どうだった?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

鬼気迫るサスペンス!度肝を抜く衝撃!

最後に待ち受ける想像を絶するラストにあなたは…⁉

この映画、とんでもないことになってました。前半の素晴らしいサスペンスフルな展開から、まさかあんなところに連れてかれるとは…!素晴らしい作品でした!

この映画を見るにあたって

そこで、まずは今のフランスを取り巻く現状をお話ししていきます。この映画に関連したもののみピックアップしていきますので、ご鑑賞前に読むのに最適になるよう、努力します。

パリ郊外と映画

まず、この映画の舞台はフランスのパリ郊外のモンフェルメイユ。ここはまさしく、ヴィクトル・ユゴーが書いた傑作小説「レ・ミゼラブル」の舞台となった街です。

現在のパリ郊外というのは、バンリューと呼ばれ、犯罪多発地区の一部とされています。ここには、僕らが頭に思い描く「花の都、パリ」は存在しません。この映画の舞台となるモンフェルメイユのボスケ団地は、元々1960年代ミドルクラス向けの集合住宅街として開発されてきました。しかし、パリと空港に直結する高速の開発が中止され、パリまで徒歩とバス、電車を乗り継いで1時間半かかる陸の孤島となってしまいました。これにより、この住宅はより貧しい層へと転売されてゆき、貧困化が進んでいくことになったのです。

また、フランス郊外は19世紀後半より工業地帯として発展し、戦後にはアフリカの旧植民地から多くの移民労働者が動員されました。しかし1970年代以降貧困化治安悪化が進んでいます。そのような郊外を舞台にした映画1980年代以降撮られるようになり、「郊外映画」と呼ばれるジャンルが出来上がりました。日本ではマチュー・カソヴィッツ監督「憎しみ」が有名ではないでしょうか。また、郊外出身の移民の方が自ら撮る作品も生まれてきました。現在フランスでは、この郊外映画を集めて上映する「郊外映画祭」2006年から行われています。

2005年パリ郊外暴動事件

この映画を語るに欠かせないものがあります。それは、2005年に起きたパリ郊外暴動事件。これは、2005年10月27日北アフリカ出身の3人の若者警察官に追われる中逃げ込んだ変電所で感電し、死傷したことに端を発した暴動です。この事故起きたのはクリシー=ス=ボアという郊外で、モンフェルメイユの近くでもあります。この暴動は若者を中心に広がっていき3週間にもわたって続くことになりました。しかし、この暴動が起きても事態は改善されることはなく、ただ疲弊し切るのみという、悲しい幕切れをしました。

映画の感想!

それではこの辺りからこの映画について触れていきましょう。

 

 

リアリティが半端ない!

なんと言ってもこの映画は、とんでもなくハラハラするサスペンス!この街に住んでいる監督ならではのリアルすぎる描写、展開に目が離せません!ドキュメンタリーを撮り続けた監督ならではの、本格的にリアルなものが見れます。個人的には、最近はなんでもSNSに上げるから警官がスマホで捜査するのは少し可笑しかったです。

今作における展開はなんと実際に起こった出来事がベースになっているとのこと!W杯はもちろん、ドローン子ライオンとかもまさに現実に起きていたんです!

ちなみに、ドローンが何故貧しい彼のもとにあるのかというと、盗んできたそうです(笑)よく盗みが横行してると聞きますが、凄いですね、開いた口が塞がらない(笑)話を戻します。

警察官の描写も中々に凄い。地方から来たステファンにひとしきり街の案内兼偏見の披露少年少女にも容赦なく職務質問や身体検査を強要する。監督自身、10歳の時に初めて職質を受けたそう。特に警察官の失態、これも実際にあったそう。これは驚きですね。この地域は多様な民族の方がいて、それぞれ衝突も少なくない。そこで地元警察はある程度強硬に、横暴に、しかし手も借りなくてはならない。そしてそこは地元の方達も同じ危険は孕んでいるが暴走せず、互いに共存していく他ない。これは現実でも同じなんだそう。この映画に市長と言われる人が出てきますが、この彼と白人警察官クリスとの関係非常に複雑。それだけでとてもスリリングになっています。さらにこの彼だけではなく、幾つもの派閥があり、それぞれが睨みを効かしあっている。自らの利権を得るために画策したり、暴走しないよう奔走したりとクルクルと立場が入れ替わっていく。現実かと見紛うほどのスリルがたまりません!

さらにこの映画は主人公ステファンの視点で進んでいくのも素晴らしい。地方から来たステファンは、この土地や人々と繋がりが薄い、いわば第三者。だからこそ周りの人達に肩入れしたりすることなく、ある種俯瞰した立場として現実に対処していきます。まさに映画を見ている観客と同じ状況にやられているんです。これはよりリアルに感じられます!

だからこその圧巻のラスト!

先ほども言った通り、この映画はとてつもないリアリティからなる巧みなサスペンス。途方もない1日が終わると、警官達も自らの生活に戻っていきます。彼らもまた、この街に住む住人であることが示されます。ある者は家族を持ち、ある者は母を愛し、ある者は遠く離れた息子と電話をする。とてもいいシーンです。

しかし。

この映画はラストに思わぬところに連れてかれます。まさしく牙を剥いて襲いかかってきます。リアリティに地に足つけながら、とんでもなくフィクショナルに飛躍させています。まさに、圧巻。凄まじいです。映画をよく見てると、実はある部分で語られていたんですよ。流石にこれは是非とも劇場で見て欲しいので何も言いません。が、一言で言い表すなら、地獄絵図。見ている途中、「早く終わってくれ…!」息つく暇もないものが見れます!

この映画を見る前にオススメの映画!

「レ・ミゼラブル」を見るにあたり、この辺りの映画を見てみるとより分かりやすいかもしれないので紹介しておきます!ミュージカルの方は、皆大好きヒュー・ジャックマンが出てるのでマストで(笑)

憎しみ

こちらは、先にも述べました郊外映画というジャンルの原点です。若き日のヴァンサン・カッセルが主演をしています!この作品は1995年のカンヌ国際映画祭マチュー・カソヴィッツ監督賞を受賞しています。ラジ・リ監督曰く、今の現状は「憎しみ」の時から何も変わってないとのこと。この映画に興味を持った方は是非一度!

ドゥ・ザ・ライト・シング

こちらはあのスパイク・リー監督の代表作!ラジ・リスパイク・リー「リ」が同じですね。関係ないですね。実は「レ・ミゼラブル」と「ドゥ・ザ・ライト・シング」は非常によく似ています。あの”市長”もいますね。このことからスパイク・リーは本作に非常に惚れ込んでいて、オスカーのプロモーションを自ら買って出る程!傑作なので、是非一度観てください!

殺人の追憶

こちらは言わずと知れた韓国映画!先日アカデミー賞を受賞した「パラサイト」のポン・ジュノ監督の作品です!この映画では警察のずさんな捜査、圧力などを描いていて、本作にも何かしら影響を与えていると考えています。どちらもテイストは違えど実話、実態をベースに描いているので、見比べるのもいいのではないでしょうか。

ここに注目してみて!

ここからはネタバレもしながらこの映画の更なる解説、及び考察も少しですがやっていきます。

W杯とフランス

この映画のポスターでもあり、映画冒頭にも出てくるこのシャンゼリゼ通りを埋め尽くす人々。国歌「ラ・マルセイーズ」を大合唱し、熱狂しすぎて危うくもあり、煙なども確認できるので怖くもありますが…

これは、2018年サッカーW杯フランスが優勝を決めた時のパリの様子です。フランスは先にも言った通り、様々な人種の方がいらっしゃいます。そんな彼らが一丸となってフランスの優勝を祝いあっている。人種・民族の違いを超えて人々が勝利を祝い、抱き合って喜ぶ様子は、多民族社会フランスの「成功」を示すような画です。

これは、監督の実体験がベースにあります。それは1998年にフランスがサッカーW杯で優勝した時に、同じように勝利を喜び合う人々の中で、初めてフランス人だと思えたという喜びから来ているそうです。後の物語で語られることになる少年イッサも、この冒頭でモンフェルメイユから遥々パリまで来て、この勝利を喜んでいます。まさに、監督の分身とも取れますね。

ラジ・リ監督

この映画の監督は、ラジ・リ。なんとこの映画が長編初監督!その作品がカンヌで賞を取り、アカデミー賞にもノミネートするとは…また天才が現れましたね。

この監督は舞台となったモンフェルメイユ出身で、今尚この街に住んでいらっしゃいます。元々は短編映画ドキュメンタリーを主に取られていた監督で、1997年「MontfermeilLes Bosquets」という短編映画を監督してデビュー。実はすでに15年ものキャリアをお持ちです。先に述べたパリ郊外暴動事件において、発端となった変電所でジェド・ベンナブーナ・トラオレの2人の死に衝撃を受け、1年間自身の街を撮り続けたwebドキュメンタリー「365Days in Cichy-Montfermail」2007年に作られています。また、今回の「レ・ミゼラブル」は、前身ともいえる自身監督の短編映画「Les Misérable」にインスパイアされたものになります。

また監督は、アニエス・ヴァルダのドキュメンタリー「顔たち、ところどころ」にも出ている写真家JR(ジェイアール)と共にドキュメンタリー「28Millimeters」の脚本を手掛けています。このJRは、クリシー、モンフェルメイユ、パリの街の壁に巨大な写真を貼って話題となった人です。

ちなみに。この映画でドローンを操る少年がいます。非常に重要なキャラです。彼はなんと監督の息子さんが演じられているんだそう!

少し考察(ネタバレ注意!)

この映画の白眉は2つ。1つは先程お伝えしたリアリティあるサスペンス。そしてもう1つが、ラストの子どもたちの暴動です。

物語は騒動の夜、ステファンとグワダの会話である種終わっています。グワダのもつゴム弾は暴発することはない。だからあの失態は意図して引き起きてしまったということが語られます。この地域の警察官は本当にたまったもんじゃない子どもたちは悪さをするは、様々な民族の騒動に巻き込まれるは、その家族からは邪険にされるは…この地で育ち、その地域の人にも信頼があるグワダイッサに向かって発砲したことは、とても複雑でかつやるせないです。この現実を知ったステファンは、失態が記録されたSDカードをグワダに渡します。簡単な正義では語れない複雑さを目の当たりにして、ある種妥協をしてしまうんです。

しかし、よく考えてみると、この複雑な環境の最大の犠牲者とは一体誰なのか。そこにいる警官でもなく、派閥をもつ大人たちでもない。子どもなんです。映画内で最大の理不尽にさらされているのは、イッサなんです。

冒頭でフランスの勝利を祝い合う中にいる笑顔のイッサ少年。彼は悪戯もかなり度が過ぎるので決していい子とは言えないかもしれないけど、それでも彼は紛れもないフランス人。しかし、そこにいる警官に罵倒される。警官達に怪我を負わされても地元の大人達は派閥争いや暴走を防ぐことに躍起になる余り、なかったことにされる。自分のせいだと言い渡されるシーンは辛いですね。

ここにはさらに、イッサに対してクリスが言い放つので、移民の人間に対する考えも出てきます。我々は移民の方というものを短絡的に解釈してしまいます。何か困っていても、大変だったりしても「移民してきたのはそっちなんだから、自分のせいでしょ」なんて考え方に陥ってしまいがちです。この地で生まれ育ち、その国の人間である自覚を持っていても、見た目や流れている血で違うと判断されてしまう、自分でもどこかそう思ってしまう…とても複雑で繊細なんですね。

そんな彼が、いや彼と同じ子ども達が、大人達に一斉に反乱を起こす。自らをこんな目に合わせた彼らは悪人だから団地にいる子供たちが一斉に容赦なく暴れます警官達を、大人達を追い詰め、建物に火を放っていく。怪我をしても、止めさせようとしても容赦なく。冒頭でイッサが話していたアフリカの悪人の末路のように。「ジョーカー」暴徒達のシーンととてもリンクしています。しかしこれは、子ども達がやっていることなので、よりキツい。子どもというのは未来の「希望」と見ることが出来ます。それがこのような形で容赦なく打ち砕かれ、牙を剥いてくる。とんでもないシーンです。

ラスト、ドローン少年が助けを求める警官達の声に応えてドアを開けようとしますが、その目の前には火炎瓶を持つイッサが。振り下ろさんとするところで映画は終わり、ヴィクトル・ユゴーの言葉で終わっていきます。「レ・ミゼラブル」の一説です。

『友よ、よく覚えておけ。

悪い草も、悪い人間などもいない。

ただ、育てる者が悪いだけだ』

衝撃の幕切れで映画は終わっていくんです…

ちなみに、ラストは別のものもあったらしく、それによるとイッサは警官達に火を放つ終わりになっていたらしいです。あまりにも、あまりにも、暗い…

このラストは、2005年パリ郊外暴動がまさしく繰り返されてしまうというものを見せつけています。それは監督の怒りなのかもしれません。あの時の暴動があったにも関わらず、何もされない現実。これを変えないと、また再び悲しいことが起きてしまう、いや起きているかもしれない。この映画の中に明確な悪人は出てきません。善人も明確にはいません。だからこそ、この沸々と湧き上がる怒りは、止めることはできないんです。

では、それを回避することは出来ないのか、希望はないのか。それを示しているシーンがあります。

それは、映画冒頭のW杯優勝で湧き上がるシーン。これこそが、希望なのだと思います。監督は1998年の優勝の時、初めてフランス人だと思えたと語っています。つまり、フランスは1つになることができる。民族も宗教も多々あるけど、そんな彼らでも1つになることが出来たんです。だからこそ、この悲惨な現実を変えるために今こそ1つになって変えなければならないんです。

貧困や移民等の問題は、個人では解決できませんパリ郊外のみでも解決できません。これはフランスの問題として、解決していかなければならないんです。

「パラサイト」や「万引き家族」「アス」「家族を想うとき」など、同じテーマで様々な監督が作品を作るほど叫ばれている問題。この映画もまさしくこの問題を取り上げた一つでありますね。そして、最も暗い未来を見せつけた映画かもしれません。

ちなみに。この映画のラストの暴動にはもしかしたら主犯がいるかもしれません

子どもたちが警官の車を追い回す前、バイクの集団が威嚇してきてますね。彼らよく見ると、サラーの店にいた人々。そして最後には、警官、市長、ハイエナたちもやられる中、サラーにはその描写がありません。サラーの店にいる人たちは、前半に団地の子供たちを集めて信仰について語り合おうと言ってました。彼らはイスラム教徒。そしてこの映画の舞台はフランス。偏見などではないのですが、これは、ひょっとして…?

ご想像にお任せします。

最後に

いかがでしたでしょうか?

この作品はアカデミー賞にもノミネートされているほど、素晴らしい作品です!それに留まらず、現在我々日本も他人ごとでは片付かない状況に来ている昨今、まさしく今見るべき映画。是非多くの人に見てもらって、ラストに突き落とされて、様々なものを持ち帰ってもらいたい(笑)

映画「レ・ミゼラブル」2月28日(金)公開です!近くに3月1日映画サービスデーがありますので、この機会に是非見てください!

それでは最後までご覧頂きありがとうございました!

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